ところ狭しと試作が並ぶアトリエ。
UNKAIの施釉と本焼きを行う伸光窯では
実に一年以上にわたり試作が繰り返されました。
しっかりと時間をかけて、伸光窯でしかできないモノを生み出す。
5代目当主の田中氏は、すぐにマネされるような
安易なモノづくりを良しとせず、日々研鑽を続けています。
UNKAIが伸光窯でしか仕上げられない理由の一つが釉薬。
4代目当主により美濃焼の伝統釉薬「鼠志野」に特化した窯へと進化した伸光窯では、
釉薬の豊富な知識と技術が蓄積されているほか、
独自に調合された釉薬も数種あると言います。
また窯焼きにも特徴があります。
近年、生産性を追求した結果、短時間で仕上がる窯が主流となりましたが、
伸光窯では焼成に通常の倍以上の22時間、
さらに熱を冷ます工程の「徐冷(じょれい)」に3倍の24時間をかけます。
時間と手間を存分にかけた仕事により、釉薬の光沢や彩り、
垂れ方や膨らみに豊かさが現れ、強度も増す。
そうして伸光窯が伸光窯足り得る独特の器が出来上がるのです。
試作では、同じ窯内でも場所によって温度の違うため、
どの位置で焼くと最も美しい雲海が現れるのかを探り続けた結果、
窯のごく一部でしかUNKAIを焼くことができないと判断。
他の窯で非効率と一蹴されるような贅沢なモノづくりとなりましたが、
伸光窯でしか仕上げられない器「UNKAI」が完成しました。
山田佳一朗氏によるデザイン、
丸朝製陶所による生地と成型、素焼き、
伸光窯による施釉と本焼きによってたどり着いたのが
LIVING TALKの「UNKAI」シリーズです。
作家が一つずつ作っているかような繊細な造形と彩色と、
長く使い続けられる堅牢性を合わせ持った
他にはないLIVING TALKならではの器となりました。
山の上からでしか見ることのできない雲海を釉薬の流れで描いた器「UNKAI」。
卓上でその非日常性をぜひお楽しみください。
釉薬の流れが描く景色は、山並みに朝夕現れる雲海。
丸みを帯びた器は手に馴染みながらも、高台によって卓上から浮き上がり、雲海に通ずる非日常性を醸し出します。